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庭作りの基礎:日本庭園の様式

  庭作りに当たり、日本庭園の様式とはどのようなものであるか知っておくことが必要です。
日本庭園は風景式の中に入りますが、同じ風景式でもイギリスなど外国のそれとは異なり、他の国には例を見ない日本独特の様式です。
また、日本庭園は、築山、平庭、露地の3つに分けることが出来ます。この別け方は、江戸時代に出された「築山庭造伝」を元としています。

築山
築山は、庭の中に人工的に土を盛って作った山のことです。多くは池を作ったときに出てくる土を盛り上げています。
築山庭造伝によれば、築山の様式には、真、行、草の三種類があり、あたかも文字における楷書、行書、草書のように、くずし方に違いがあります。真は最もリアルな様式であり、草は抽象的な様式になっています。
真の築山について、築山庭造伝は次のように示しています。
 寂然木  庭園を囲うように植えられている木
 見越し松 背景として植える木 松に限る事はない
 正真木  庭園の中心となる木 常緑の高木
 景養木  正真木を補うための木
 夕陽木  東の寂然木に対し、夕陽木は西
 流枝松  池の水面などに張り出している松
 守護石  不動石または滝副石、正面奥の大きな石
 遊禦石  池の周りに置く石
趣味で楽しむのなら、このように縛られる必要はないと思います。築山造園伝ではかくあるべきだと説いているのですが、現代のわれわれが自宅で趣味で作るのなら、そんなに堅苦しく考えなくても良いのではないでしょうか。
しかし色々の趣味があります。築山造園伝を実行することこそ自分の趣味であり、そうすることを楽しむのだと言われればそれはまことに結構なことだと思います。

平庭
築山に対し、平庭は土盛りがない平坦な庭です。
平庭にも、真、行、草があります。
現在家庭で見られる芝生の庭も平庭です。
平庭の中心も正真木あるいは守護石になります。
築山の場合は、見るべきところ、すなわち視点が固定されますが、平庭の場合、どこが重点なのか分かりづらく、視点が定まりにくくなります。平庭の庭作りに置いては、飛び石を打つにもかなりの工夫が必要ですし、この視点を作り出すことが重要になります。
この視点を作ると言うことは、趣味の庭であっても取り入れるべき要点の一つだと思います。そうでないと、庭を見て心を和ませることができにくくなる可能性かせあるからです。

露地
露地と言うのは本来は何もない地面のことですが、日本庭園において露地庭と言うのは茶室を意味します。
茶室に続く何もない地面、というところから来ていますが、主体は茶室になります。
茶室は社交の場であり、わび、さび、しぶさの集約になります。
日本の独特の奥ゆかしさかも知れませんが、隠されているもの、省略されているもの、質素な美しさなどがここには盛り込まれています。例えば玉石を敷き並べて、州浜に見立てるなどです。

現代の我が国の庭園
現代の私たちの家庭には、ベッドがあり、畳の部屋があり、更に応接間まであります。本来の日本家屋から見ますと、随分様変わりしているわけです。
それと同じようなことが、家庭の庭にも起こってきています。たとえば、芝生を手前に置き、奥には石組みや滝を作ると言った具合です。このような庭作りは珍しくありません。そういった庭がこの日本に定着している以上、これを日本庭園として考えなくてはならないわけです。
古来からの伝統をも採用しつつ、西洋式の様式も取り入れた日本庭園。これが現代の日本庭園です。
しかし、忘れてならないことは、その現代的庭園の中にも、しっかりと本物の伝統が生きていると言うことです。
日本人は本物を見通す鋭い感性を持っています。
プラスチックの石組みに重さを感じることは出来ません。本物の自然石を置いてこそ、落ち着きを感じることが出来るのです。
趣味で楽しむ庭とは言え、ある程度はこのことは守らなくてはならないでしょう。

 

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