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水滴のファンタジー


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  水の柱状クラウンに第二の水滴を衝突させると、幻想的なクラウンが生まれます。
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あとがき




  趣味を楽しむ:第二水滴によるクラウン
   
 

水滴

   最初、雨坊主を撮りたいと思ったのです。 それこそ雨の日に水溜りに水滴として降る雨を実際に撮って見ました。 しかし水滴もなにもほとんど写りません。 シャッターを開いた瞬間にそこに水滴による雨坊主ができていないのです。 広角にして広い範囲を写しますと、確かに水滴は写ることは写るのですが、小さくて使いものになりません。
それではと言うので、ちょっとした台の上からポタリポタリと水を水滴として落としました。デジカメで何枚か撮ったらこけしが写りました。うれしかったですね。まずは人並みにミルククラウンが撮れなければ技術的に遅れているわけですので、王冠状の写真撮影に挑戦しました。色々調べて見ますとms単位の正確さが必要と分かり、きっちりした滴下台を作り、水滴として、いやミルク滴として正確に滴下し、タイマーでシャッターを制御する装置を作りました。
本当に王冠状のミルククラウンが写った時はうれしかったですね。 このあたりでまとめようかと思いましたが、まだ、満足がいきません。もっと豪華な、幻想的な写真にしたかったのです。それでとうとう、第二クラウンを目標とすることにしました。ミルクと違い、水は透明なガラスのような輝きがありますから、水のクラウンを材料としました。
確かに第一の水滴でできる王冠状クラウンや、引く続く柱状クラウンでもクリアーな感じで結構見えるものが撮れますが、私はもっと欲を出しました。
豪華なものにしたかったのです。 第一水滴のクラウンに、第二水滴が衝突すると、素晴らしく幻想的なファンタジーというか非現実的とも言える第二のクラウンができることがわかりました。
第一水滴のこけしのような柱状クラウンが最大に成長したところへ、第二の水滴を衝突させ、そこでできた第二のクラウンが適当な大きさに成長したところで撮影するのです。 問題は、第二の水滴をいつ滴下すればよいかということと、撮影のタイミングはいつにすればよいのかと言うことです。
これらを論理的に計算し、実験しながら進めたわけですが、写真家なのか、電気技術屋なのか分からない状態でした。
 

写真を撮る

   ミルククラウンも同じことですが、水のクラウンにおいても、その写真を撮るには「一瞬」が勝負です。その一瞬が一瞬遅れれば目的とする水滴の幻想的写真は撮れませんし、一瞬早すぎてもやはりだめです。
水滴を滴下すると、最初に冠状のクラウンができ、これが消滅すると柱状のクラウンが出来てきます。これが成長し、こけし状になって首がちぎれることもあります。 この第一水滴による柱状クラウンの成長したところへ、第二の水滴を衝突させるのです。
第一の水滴を滴下してから柱状クラウンの成長するまでの時間を測定しました。その時間になったときに第二の水滴が落下してきていなくてはならないわけですから、第二の水滴は、その時間よりも落下に要する時間だけ差し引いた時間間隔で、第二水滴を滴下しなくてはなりません。
そうすれば、ちょうど第一水滴による柱状クラウンが成長したところへ、第二水滴が落ちてきて衝突するはずです。
衝突すると、第二のクラウンが発生し始め、リング状に成長します。その成長のちょうど良い時間において写真撮影をしなくてはなりません。
最初、カメラのリモートコントロールに信号を与えましたら、その信号を受け取ってから、ミラーを上げてシャッターを開くまでの時間が結構かかり、しかもばらついてしまって使いにくいものになってしまいました。このタイムラグを稼ぐため、水滴の滴下されたことを検知するセンサーをずいぶん上のほうに設ける必要がありました。 しかし、長い時間の元で、一瞬と言う短い時間を制御するのは得策ではありません。 そこで、暗室の中でシャッターは開いておいて、その時間になったら間髪をいれず、フラッシュを発光させる方法に変更しました。
これでタイミングはうまく行くようになりましたが、滴下間隔の安定の問題や、幻想的雰囲気を出すための照明効果などまだまだ沢山の問題があります。 本文のほうでこれらの解決策を紹介します。
 

照明

   水のクラウンと言う、幻想的、ファンタジーな写真を撮るには、ただタイミングの技術だけではいけません。 写真としての魅力を引き出すためには照明は非常に重要な要素となります。
写真を勉強された方はきっとご存知のことです。 順光、逆光、斜光・・、それはそれでよいのですが、単にフラッシュで撮れば、被写体は水ですから透明体です。 ガラスを撮影しているようなものです。 クリスタルとしての輝きは容易に得られますからそれが好みの方はあまり苦労されずに済むかもしれません。
しかし私は、水に色を着けて撮りたかったのです。水に絵の具を入れて着色するのではありません。照明効果で色を出そうと言うわけです。
水は容器にいれて下のほうに置きます。上部から水滴を落下させます。水滴によりクラウンができ、更に第二水滴の衝突によって第二のクラウンが発生します。そのタイミングを狙ってフラッシュを発光させるのですが、フラッシュの光は白色です。色は付いていないと言ってよいでしょう。フラッシュを、水のクラウンの真横よりやや手前から発光させてやりますと、クラウンはクリスタルのように輝いて写ります。
カメラには水面も写っています。この水面に色を付けるには、水の容器の背面に屏風のように色の付いたものを置けばよろしい。例えば赤い紙を置きますと、これが水面に映りますのでまるで赤い水面のようになります。
その屏風のような赤い紙以外は充分遠ざけるか黒い色で囲います。 水滴によってクラウンもできますが、水面に同心円状の波もできます。
すると波によって赤い紙は映らないところが出てきますから、同心円状に黒いリングが出てきます。
つまり、背後に好きな色紙を置けば、クリスタルのクラウンと、色のある水面と、同心円状の黒い波が写せるのです。
その他色々工夫していただくのは楽しいことではないでしょうか。
 

ミルクとの差

  水のクラウンもミルクの場合と本質的な違いはありませんが、実際の形状は相当違うといってもいいでしょう。
ミルクの場合、見事な王冠状になりやすいですが、水の場合はなかなかそうは参りません。
円筒状の先に宝石のようになる部分がちぎれ易いのです。
粘性が大きくかかわっているものと推定されます。
水に粘性を与えるため、オリゴ糖を加えてみたことがあります。
そうしますと、かなりミルクに近い形にすることができました。
ただ、柱状クラウンを作る場合とは大きく違い、きわめて浅くしておくことが必要です。
柱状クラウンの場合は、水面が凹状になった後、これが逆に凸になって出来るのですが、王冠はこの逆転現象の生じるよりも前の時点で出来るためです。
きわめて浅くというのは、お皿に1mm程度の厚みの膜状にしておくというていどです。
 

自己紹介

   本職は電気関係の技術屋です。大学卒業して、もう45年間一筋に勤めています。もっとも、第一線は退いて、現在は技術顧問をしています。 会社に入ってこの道一筋!  部署すら変わったことがありません。 特許も数知れず出願しました。
今は週3日の勤務です。 休みは毎週4連休と言うことになります。 でも結構忙しいですよ。 どうしてかって? 写真に明け暮れているからです。 昨年は国際文化カレッジの写真コンクールに出展して、受賞することが出来ました。
今年も頑張っているのです。 自分なりのタイトルを決めて、それに挑戦しています。 3つあるのですが、その内の一つが「水滴の幻想」というテーマです。
「水滴のファンタジー」と言っても同じことです。 幻想=ファンタジー ですから。
私は根が技術屋ですから第一水滴のクラウンに、第二水滴を衝突させ、その直後にフラッシュ撮影するという凝った写真のとりこになってしまったのです。水滴に水滴をぶっつけて、幻想的な水滴のクラウンを作り出すのです。
趣味はいくつかあります。ギター、尺八、アコーディオン、ハーモニカなどの演奏が得意です。 でも、今熱中しているのが写真です。デジカメも勿論持ってはいますが、フィルムにこだわっています。 ですから、デジカメで水滴の幻想写真を撮るのではなく、銀塩フィルムカメラで、水滴の幻想的写真を撮ろうとしているのです。
デジカメなら何回も撮って、写っているものだけ選べばよいわけですからあまり問題はありません。1000枚か2000枚写せば100枚くらいは残せるのではないでしょうか。そうすれば良いものが数枚あるのではないかと思います。
銀塩フィルムではそうは行きません。 水滴同士の衝突を、せいぜ200枚くらいで100枚写せなくてはならないからです。 でも、フィルムはいいですよ。私は味があると思いますね。 真空管とトランジスタアンプの違いでしょうか。ギスギスしてないから気持ちが和みます。もちろん私の個人的主観の話ですけど。


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